この記事は、初めてのイラストシリーズの第3回です。
なんか描いてみたイラストが記号っぽいんだよね
これまでは平面だったからね
そろそろ立体に挑戦してみよっか
ものを単純な図形を組み合わせととらえると、シンプルに描けるので練習しやすいです。
下書きをしてから清書する流れで描けば、少し複雑な組み合わせでも描けましたね。
下書きから清書までの流れを確認したい方は、以下のページを確認しましょう。
図形の組み合わせでいろいろ描けるようにはなりましたが、それだけでは限界があります。
イラストが平面的で、記号やアイコンのような感じになってしまうのです。
せっかくならもう少し描けるものの幅を広げたいですよね。
そのためには、平面的な図形だけでなく立体を意識する必要があります。
そこで今回は、立体を描いてみようと思います。
今回のイラスト「便利な箱ティッシュ」
今回完成させるイラストはこちらです。
「便利な箱ティッシュ」です。
おお、なんか奥行きがあるぞ!
これまでよりちょっと難しくなるから頑張ろうね
平面を立体的に描いてみよう
イラストは紙に描くので、どうやっても結局は平面です。
なので、大切なのは「立体的に見せること」です。
これまで描いてきた平面も、少し角度をつけてみると立体的に見えます。
立体を描く前に、まずは平面を立体的に見えるように描いてみましょう。
イラストを描く道具は、えんぴつでもサインペンでもなんでも大丈夫です。
私はCLIP STUDIO PAINT PRO
(クリスタ)を使っています。
遠近法
遠近法という手法があります。
現実では、近くのものは大きく見えて、遠くのものは小さく見えますよね。
人間はその感覚が身についているので、平面であったとしても、大きいものが近く小さいものが遠くに見えます。
これが遠近法の基本です。
遠近法を使えば、イラストという平面の世界を立体的に見せることができます。
かなりザックリだけどね
最初はこのくらいでいいと思うな
正方形
正方形を立体的に描いてみます。
普通に正方形を描くと、4辺とも長さが同じで角度は4つともすべて90度です。
これを立体的に見せるためには、遠近法を使います。
例えば、上の辺を小さくすると上の辺が遠くにあるように見え、下の辺を小さくすると下の辺が遠くにあるように見えます。
また、真正面から見たときより、上下の辺の距離が近くなります。
右や左でも同じことができます。
これらは図形的にはただの台形ですが、正方形だと思ってみると奥行きを感じますね。
円
円を立体的に描いてみます。
円は正方形と違って辺がないので、どうすればいいか分からないですね。
円を立体的に見せたいときは、楕円にすればいいだけです。
線を引いたりしてみると、より立体的に見えます。
立体的に見せかけてるだけなんだね
そうなの
イラスト描く紙は平面だからね
大小関係で立体的に見えるようにすることが大事なんだよ
いろんな立体を描いてみよう
いろんな立体を描いてみましょう。
立体といっても、立体に見せかけることがポイントです。
六面体(立方体・直方体)
まずは、箱のような立方体や直方体を描いてみましょう。
立方体を平面的にとらえて描く方法
立方体を描くとき、よく見かけるのがこのようなイラストです。
描く手順は、以下のようにする方が多いと思います。
- 手前の面として正方形を描く
- 3つの頂点から同じ方向に辺を伸ばす
- 伸ばした先を辺で結ぶ
これは、立体を平面的にとらえた描き方になっています。
手前の面が正方形に見えるということは、真正面から見ているということです。
本来、真正面から立方体を見ると、手前の面以外の面は一切見えません。
しかし、手前の面の正方形だけだと立方体だと認識できないため、見えないはずの面を描きこんで立方体に見せかけたのです。
これも一つの描き方ですが、せっかくの立体がペタッとした感じになることを知っておきましょう。
立方体を遠近法を使って描く方法
遠近法を使って、立方体を立体的に見えるように描いてみましょう。
ちょっと難しいから、まず特徴を見てみるね
特徴を見たあと、簡単な書き方を紹介するよ
正方形に角度をつける
手前の面に角度をつけて描くことで、ほかの面も見えるようにします。
少し上の辺を小さくすると、上の辺が奥に下がって見えるのでしたね。
正面の上の辺が奥に行くと、下の面が少しずつ見えてきます。
つまり、こうなっていきます。
立方体が回って見えますよね。
角度がつくと、正方形は正方形に見えなくなります。
立方体の面の見え方の特徴
このように2面だけ見える描き方では、手前に見える辺の両端の角度はどちらも鋭角になっています。
3面が見える立方体は、片方が鈍角になります。
鋭角とは、直角(90度)より小さい角度の角のことです。
鈍角とは、直角(90度)より大きい角度の角のことです。
立体的に立方体を描く手順
ここまでの特徴を使って、ザックリと簡単に立体的な立方体を描く手順を紹介します。
- 手前の面として台形や平行四辺形を描く
- 同じ形を1つ目からズレた位置に描く
- 同じ頂点を直線で結ぶ
正確である必要はありません。
なんとなく同じ形で描くことができれば、それらしい立体に見えます。
ゆがみも味だと思って、楽しんで描きましょう。
以下の例では、1つ目が青、2つ目が緑、最後に結んだ直線を赤で表しています。
2つ目の同じ形を描くとき、少し小さめにするとさらに角度がついて見えます。
重なって見えなくなるはずのところは、後で消せばOKです。
難しいですが、角度を変えた立方体や直方体をいろいろ描いてみましょう。
円柱を描く
次は、筒のような円柱を描いてみましょう。
楕円にすると立体的に見えるのでしたね。
楕円を2つ描き、一番キュッとなっている部分を直線で結びましょう。
上の楕円の下半分を消せば見上げた感じに、下の楕円の上半分を消せば見下ろす感じになります。
上下の楕円の大きさに差を作れば、さらに見上げ・見下ろしを強調できます。
いろいろな円柱を描いてみましょう。
角錐・円錐を描く
最後に、錐(すい)を描いてみましょう。
錐とは、先がとがっているような立体のことです。
ピラミッドのような四角錐を描くときは、まず底面となる四角形を立体的に見えるように描きます。
その後、どこか1点に向かって、各頂点から直線を引けば完成です。
円錐は、楕円のキュッとなった部分から1点に向かって直線を引くだけです。
いろいろな錐を描いてみましょう。
立体は難しいが自由に描いてOK
立体を立体的に描くのはとても難しいことです。
大事なのは、立体に見えることです。
それらしく見えれば、正しい立体でなくても大丈夫です。
正しくなくても存在できるのがイラストのいいところなので、まずは楽しんで自由に描いてみましょう。
正確に描く方法を知りたい方は、別の機会にまとめます。
「箱ティッシュ」を描いてみよう
箱ティッシュを描いてみましょう。
下書き
下書きをしていきます。
下書きについて詳しく知りたいときは、以下のページを確認しましょう。
下書きは後で消すので、薄く描きましょう。
サンプルは見やすいように色を分けて濃く描いています。
直方体を描く
箱ティッシュの箱部分は直方体です。
横長な感じの直方体を描きましょう。
重なって見えなくなる部分を消すと、こんな感じです。
取り出し口を描く
ティッシュの取り出し口を描いてみます。
私は長方形を使っていますが、楕円でもいいと思います。
取り出し口を描く面に沿っているように見えるように、角度に気を付けて描きましょう。
ティッシュを描く
ティッシュは四角形です。
取り出し口の中心から、上に向かって四角形を描きましょう。
ティッシュはやわらかいので、左右の辺を曲線にするとそれらしくなります。
清書
下書きに沿って、丁寧に清書しましょう。
清書ができたら、消しゴムで下書きを消して完成です。
もし消しゴムがけが大変だと感じたら、下書きを別紙に描いたり、デジタルにしたりすることで、その手間を省く方法があります。
なんかイラストらしくなってきたね
立体が描けると幅も広がるからね
立体を描けるとイラストの幅が広がる
これまでは平面的な図形だけを使っていたので、記号やアイコンのようなイラストでした。
平面を立体的に描いたり、立体を描いたりできれば、描けるイラストの幅が一気に広がります。
立体的なイラストは、平面的なイラストと比べかなり難しくなります。
大変ですが重要な部分なので、たくさん立体を描いて練習することが大切です。
身の回りのものをいろんな角度から観察してみることもいいと思います。
観察と練習を根気よく繰り返し、少しずつ立体のイメージをつかんでいきましょう!
今回の内容で描けるお題とサンプル
立体を描く練習として、以下を描いてみましょう。
マグカップ
円柱を使えば、マグカップが描けます。
スマホ
薄い直方体で、スマホが描けます。
画面部分の長方形を直方体の面にうまく乗せる練習になります。
看板
看板には、イラストが描いてあったりしますよね。
これまで描いたイラストを、角度が付いた看板に描いてあるように描いてみましょう。
ここのお題とサンプルはあくまで例です。
身の回りの単純な立体を、自由に描いてみてください!
平面の100倍難しいなー
立体はすごくつまづくポイントだよ
すぐには描けないと思うから、じっくり練習しようね
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雪女のユキ。
イラストなど創作やものづくりの内容を担当している。
自由に自分らしく・じっくり根気よくがモットー。
暑いのは苦手だけど、あったかい食べ物とかは好き。
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